読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Diary over Finite Fields

515ひかるが書き溜めたメモとコラムと雑記

7 は孤独じゃない!! 無限に存在する 7 の仲間たち

みなさんは, アニメ「すべてが F になる」 を御覧になったでしょうか.

www.f-noitamina.com

そこで真賀田四季博士がこんなことを言ってましたね.

7 は孤独な数

この根拠は何かというと, 次の問題*1の答えで 7 が鍵になるからです.

1 から 10 までの数をふたつの組に分け, それぞれの組を掛け合わせる. このとき, 積の答えが等しくなることがあるか.

しかし, この価値観だけである数が孤独かどうか*2を判定するのは視野が狭いでしょう. 真賀田博士がそんなことに気づかないとも思えませんが, せっかくなので 7 は孤独じゃなくて無限に仲間がいることを証明しましょう!!!!!

7 の特徴

7 は素数です. なので無限に仲間がいます.

素数が無限に存在すること

{\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s}} を, Riemann {\zeta} 関数とします. このとき, {s=1} がこの関数の極になることはよく知られていることと思います.

また, {\zeta} 関数は次のような特徴を持ちました: {s} の実部を {\sigma} *3 としたとき, {\sigma > 1} ならば,

{
\begin{align}
\zeta(s) = \prod_p(1-p^{-s})^{-1}
\end{align}
}

という無限積の表示ができます(積はすべての素数をわたります). これを Euler 積といいます.

ここで, 背理法を用いて素数が無限に存在することを示しましょう. 素数が有限個しかなかったとします. すると, 右辺は有理数の有限個の積なので有理数. しかし, {s=1} では {\zeta} 関数は発散するので, 矛盾します. したがって素数は無限に存在します.

もう少し近い仲間

しかし, 素数というだけではあまり仲間という感じがしませんね. そもそも素数って分布がよくわからないし, 7 とは縁遠い素数だってたくさんいそうです. では, 素数の中でも 7 と特徴が近い素数って何があるでしょうか.

ここで, 剰余で分類することを考えましょう. 特に, 奇素数{\bmod 4} で分類することを考えましょう.

すると, 7 は 4 でわると 3 余ります. なので 3, 7 は仲間です. では, こんな仲間ってどれくらいいるんでしょうか??

{L} 関数

上の問題を調べるためにこんな級数を考えましょう.

{
\begin{align}
L(s) = \sum_{n: \text{奇数}}^{\infty}\frac{(-1)^{\frac{n-1}{2}}}{n^s}=\frac{1}{1^s}-\frac{1}{3^s}+\frac{1}{5^s}-\frac{1}{7^s}+\cdots
\end{align}
}

これは Dirichlet {L} 関数と呼ばれる関数の特別な形のひとつ*4です. これは実は {\sigma > 0} で収束します. これも Euler 積表示ができて,

{
\begin{align}
L(s) = \prod_{p \neq 2}\frac{1}{1-\frac{(-1)^{\frac{n-1}{2}}}{p^s}} = \prod_{p \equiv 1\bmod 4}(1-p^{-s})^{-1}\prod_{p \equiv 3\bmod 4}(1+p^{-s})^{-1}
\end{align}
}

となります. っつーことで, {\zeta(s)/L(s)} を計算してみましょう.

{
\begin{align}
\frac{\zeta(s)}{L(s)} = \prod_{p \equiv 3\bmod 4}\frac{1+p^{-s}}{1-p^{-s}}
\end{align}
}

ここで, 背理法を用いて, {p \equiv 3 \bmod 4} となる素数が無限に存在することを示しましょう. まず, そのような素数が有限個しか存在しないと仮定します. 右辺は {s=1} で正則な関数です.
よって, {L(1) \neq 0} ならば, {\zeta} 関数が {s=1} で正則になり矛盾します. したがって, {L(1)=0} が必要です.

しかし,

{
\begin{align}
L(1) = = \frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots \ge 1 - \frac{1}{3} = \frac{2}{3}
\end{align}
}

という評価ができ, 特に {0} ではないことがわかります. よって, いずれにせよ矛盾が生じます.

したがって, {p \equiv 3\bmod 4} を満たす素数が無限に存在することがわかり, 特に {7} には仲間が無限に存在することがわかりました.

書いてみて

名古屋で 「すべてがFになる」 放送中にこのツイートをしたのだが思ったよりうけなかったのでネタ記事にしてしまおうと思ったのが後の祭りだった. 今は反省している. どうでもいいけど, 私は {7} よりも {3} が好きです.

参考

  • 森博嗣. 『すべてが F になる -THE PERFECT INSIDER-』, 講談社文庫, 1998
  • J-P. Serre, A Course in Arithmetic, Springer, 1973
  • 卒業研究のセミナー

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

*1:この問題はとある大学の入試問題だったらしい.

*2:数が孤独であることを数学的に定式化しているわけでもないので, この記事は数学カテゴリに属していますがただのネタ記事です.

*3:これは伝統的な記号である. Riemann が論文で変数に {s=\sigma + it} という表記をしたため, 今でもこの表記をすることがある.

*4:正確な定義は, 参考文献もしくは手前味噌であるが, http://515hikaru.blogspot.jp/2015/10/dirichlet-l.html を参照されたい.