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Diary over Finite Fields

515ひかるが書き溜めたメモとコラムと雑記

ハルヒがいるハルヒ中心じゃない世界の話 ~長門有希ちゃんの消失~

長門有希ちゃんの消失」 を鑑賞した. アニメである. 「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズのスピンオフで, 登場するキャラクターは一緒でもジャンルも違えば, 世界観も少し違う. 舞台は『涼宮ハルヒの消失』 の際にキョンが迷い込んだ世界である.

おそらく, 涼宮ハルヒシリーズを読んでない人も普通に楽しめる可能性はあるが, ある程度人となりを知らないと謎が多すぎるだけな気もするので, テレビシリーズのアニメと劇場版を見るなり, 原作ライトノベルを 『涼宮ハルヒの消失』 まで少なくとも読破してからこのアニメを観たほうが楽しめるとは思う. 知らずに見る楽しみもあろうが.

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

ざっくりと状況説明

かんたんに言えば, 宇宙人も未来人も超能力者も出てこない if の世界, 『涼宮ハルヒの消失』 内で出てきたパラレルワールドを標準化した世界でのお話. 長門有希は高校 1 年生で, ただの内気な女の子. 文芸部の部長で, 部員のひとりであるキョンくんに恋をしている. 本よりもゲームが好きで, 同級生の朝倉さんにいろいろと世話を焼いてもらって生きてる. そんな設定から物語は始まる.

概説

ちょっとだけ SF 要素がある青春ラブストーリーである. 最初から最後まで本編のような世界の危機が訪れるといったトラブルが起きることはなく, すごく平和なお話. 僕は好きだ. 僕はもともと平和主義者である.

平和な高校生活

まず, 私は本編でてんやわんやに巻き込まれているキャラクターたちが, 平和な毎日を過ごしている描写が結構好きだ. 例えるなら, 「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」 とかだろうか. テレビシリーズのアニメでは, いろんな苦悩や葛藤をそれぞれがそれぞれに抱え, ラストを迎えるまで実はかなり疲れるアニメだ. 時間的な制約か, エピローグ的な要素もあまりない. 劇場版は, その 1 年後の夏, みんなで集まって何が起きたのかを思い出話として回想する話である. そういう描写が好きなのだ. ひとつの一大事を乗り越えて, 平和に過ごすキャラクターの姿を見るのが好きだ.

この作品も類似する部分がある. 本編ではいろいろタイムスリップしたりなんだりで大変なんだけど, この作品内ではそんな難しいことも起きず, 宇宙人も未来人も超能力者もいない世界で, 高校生が平和に青春を謳歌する話である. ハルヒだけ相変わらずだけど.

とまぁさすがにそれで最初から最後まで終わるなら見る必要もないので, トラブルは起きてしまう. (僕はそれでもよかった, きっとブログにはしなかっただろうがそれでも十分幸せな気持ちになれただろう)

以降ネタバレありなので, 話を知らない方注意.

長門有希ちゃんが消失する

きっかけは交通事故である. 長門有希が交通事故に巻き込まれる. そのとき身体は無事なのだが, 異なる人格が出現する. (言い換えれば内気な女子高生の長門有希ちゃんの人格が消失する.) 本編の長門(情報統合思念体ヒューマノイドインターフェース)の人格に近いものが出現する. つまり, 身体は同じなのだけど人が違う状況になる. SF でよくありそうな展開だ, やはりハルヒは SF 化することを避けられないのか.

そして, 実はそのもとの人格の長門と同じように, 無口な長門キョンに恋をする. (実はキョンハルヒにも好意を持たれているのでキョンはモテモテである)

人格の消失と出現

思わず号泣したシーンがある.

無口な長門は, ある日自分の人格が消失し, 次に眠りについたとき, 前の人格(ゲームが大好きな内気な長門の人格)が戻ってくることを確信した. これは理屈じゃなくそう確信したらしい.

彼女はやり残すことがないように, 親友朝倉にお礼を告げ, 図書館で借りた本を読破した. キョンに想いは告げぬまま…しかし, 偶然にもキョンはこのタイミングで長門に電話をする. 図書館で借りた本の返却期限だから返せよ…と.

彼女(まだ無口な長門である)は一方的に告げる,

  • おそらく人格が戻ってくるから私は本を返せないから代わりに返して
  • 私は, あなたが好きだ

とふたつ言い残し, 消失する. すなわち, 前の人格が長門に再び宿る.

個人的な話

恥ずかしいので先に書いてしまうが, 私はこのシーンで号泣した.

私はこういうのに本当に弱いのだ. 好きだと告げ, 返事は Yes でも No でも未練が残るから聞きたくないとか聴きながら涙が止まらなくなってしまった. そのあと一時間くらい延々と泣いていた. これが最終回じゃないので泣きながら次の話を再生した記憶がある.

ちょっと考察

少しだけ考察しよう. 人格が消えることと, 人が死ぬこととは同義なのだろうか. この場合, ゲームが好きな長門も, 無口な長門も同じひとりの人間でしかない. しかし, ふたりの人格は同時には存在できない. 片方が存在すれば片方は存在しない. しかし, 同じ人間であって存在しないだけで死んだわけではない(ように思える)

この場合, キョンに想いを告げた長門は死んだのか? 否. ではこの '別れ' は一体なんなのだろうか. この物語の一番の深淵はここにあるんだと思う.

脇役: 涼宮ハルヒ

本編のような快活さと存在感を持ち合わせながらにして, 今作ではハルヒは脇役である. しかも, 結構な名脇役である. 敢えて言わないが, 最終回で射的をするハルヒの心情を考えながら鑑賞すれば, 本編では見られないハルヒ像が浮かび上がるだろう.

まとめ

端的に言って個人的にツボだった. 私は好きだ. そしてそれ以外に特に言うこともない. もしこの感想を読んで, 面白そうだと思ったなら手を出してみて欲しい.