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Diary over Finite Fields

515ひかるが書き溜めたメモとコラムと雑記

映画 『華氏 451』 を観た

映画 旧作映画レビュー

あなたは, 本を読んだことがありますか?

「華氏 451」(Fahrenheit 451} という映画をみた.

華氏451 [DVD]

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原作はレイ・ブラッドベリの SF 作品,『華氏451度』 であり, あまりにも有名であろう. 原作は 1950 年代のものだが, 現代にも通じる風刺がなされており一読に値すると思う.

ここまで読んでわかったであろうが, 私は一度原作を (邦訳ではあるが) 読んだことがある. しかし, 映画と原作は異なる作品であり, 原作がどうあれ映画の評価が変化することはないというのが私のスタンスである. なので特にこの映画に関しても原作どうこうというつもりは基本はない. 今回はあくまでも映画の評価である.

あらすじ

舞台は, 本を所持することが禁じられた世界. "消防士" は本を所有していると通報が入ると, 家宅捜索をして本を押収, その場で焼却し尽くすという仕事で, 主人公のモンタークは "消防士" である. 自分が本を読まないことも, 焼却することにも何も疑問を抱いていなかったモンタークであったが, ある日ある女性と会うことをきっかけに, 徐々にこの世界の "おかしさ" に気づいていく. 一方, 妻のリンダはそんな夫モンタークの変化に戸惑いを隠せないでいた...

感想

演出が古臭いななどと思っていたが, 実際に古い映画だった.(1966年のイギリス映画らしい) そんなわけでちょっと今では失笑してしまうような演出が散見される. いわゆるベタな演出を大真面目にやっているのが面白いだけなのだけれど. BGM は悪くない. 適切かはわからないが不自然な箇所はなかったように思う. 内容に関しては, 全体的に詰め過ぎたという印象が否めない. 最後のシーンはなんか尻切れトンボ感が否めないし, 最後にモンタークが何を思い, 何を憂いたのかが全くわからない. どうにも釈然としないエンドを迎える. 他にも, モンタークの変化のきっかけ, あるいはその度合いがわかりにくい. あと, モンターク家以外での様子が表現されていなかったのがどうにも気にかかる. "この世界" のインフラとしてたとえばテレビ産業の力がものすごく強いのだけれど, それは適切に表現されていないように思う. たとえば, 明らかな子供だましや茶番を放送しているのだけれど, それを面白いという意見が妻リンダ以外からも聴けるとか, そういう工夫のしようがあったのではないかと思った.

若干ネタバレ

いくつか Captain(隊長) が本は不要派として意見を述べるのだが, 根底にあるのは思想の統制であって, 本を所持させないことは手段であるということがわかる (Captain は多分わかっていない) のだが, そのタネ明かしがあまりにもぼんやりとし過ぎではないだろうか. もうあと 30 分長くてもいいのできちんと言って欲しかったことが 2 つある. つまり,

  • 如何にして民衆に "考えさせない" ような世界にしているのか
  • その思想の強制に抵抗する人たちはなぜ抵抗をしているのか

特に後者はあまりちゃんと描かれていない. 人類の知恵を伝えるためというが, それは例えば本を暗記する以外の方法はないのだろうか. 結局本を読むこともそれではあくまでも手段に落ち着いてしまうのではないだろうか. また, モンタークが最後に本を暗記するのもなんだか腑に落ちなかった. 結局この映画はどちらの意見を描きたかったのだろう. あるいは, モンタークの本心はどのようなものだったのだろう.

総評

まぁまぁ楽しめたのだけれど, 見なければならない映画だとは思わなかった. 見て損したとは思わなかったが, (私にそう思わせたのは今のところサマーウォーズ以外にはない) 特に原作もあらすじも知らない人は舞台をつかむのが結構難しいと思われる. あと, 風刺が不十分な気がするので, 僕みたいなそういうのが好きな人には物足りないかも.

とりあえずこんな感じ. 明日は感想を書くかはわからないけれど, 映画 「アンナ・カレーニナ」 を見ます.