Diary over Finite Fields

515ひかるが書き溜めたメモとコラムと雑記

小説

いつもの朝に

朝の地下鉄のホームで、定刻より遅れている列車を待っている。喧騒と人混みの中で忙しく本を読む姿は、いまのこの世界に絶望しかなくて少しでも長い時間違う世界に居たいのではないかと思わせるほどだった。嘘だ。彼女はこの世界を楽しんでいるし(少なくとも…

夏の1ページ

**フィクションです** 新幹線を出ると、熱気が体にまとわりつくような不快感があった。今年も夏は暑い、何度思っただろう。先ほどまでいた地元の匂いとは違い、この街の匂いが鼻につく。まるで部外者はお断り、俺の匂いをまとえと言わぬばかりだ。この街の匂…

手紙

前書き ある記事に触発されてどうしても、書きたくなりました。こういうのを「創作意欲」というんでしょうか。 読みたい人は、どうぞ。

たとえば、君が僕を好きだったとして、だ。

ロックグラスにすっぽりはまるように削られた氷が、少し溶けて音を鳴らした。注いでもらったばかりだが、もう半分以上飲んでいる。今日はペースが早いことから自分がイライラしていることを自覚する。 右隣のおばあさんがウイスキーを飲みながら、右の男性、…